「買う」から始まる循環:Liberontが創る、次世代の購買体験
循環する未来

【記事要約】
• 空白地帯である「買う」領域への挑戦: 多くの循環型サービスが、モノが届く前か、使い終えた後に特化する中、Liberontは消費者が「購入し使用している期間」に着目。そこに循環を組み込む新たな価値を提供し、買い物のあり方を変えようとしている。
• バイバック保証が変える購買と循環: Liberontの「バイバック保証」は、購入時に買取価格を提示することで、消費者に安心を、企業には再販設計という新たな選択肢を提供する。買う瞬間から循環が始まる、新しい購買の体験を実現する仕組みである。
• 循環の起点としての「買い物」: 「欲しい」という気持ちが、そのまま循環と社会貢献に繋がる。Liberontは、誰しもが無理なく参加できる循環型の買い物という新たなスタンダードを創っています。
循環社会を求める機運と、次なる一歩
前回までの記事では、社会全体、消費者、企業それぞれの間で、循環社会の必要性が強く意識され始めていることを取り上げました。大量生産・大量消費の限界が明らかになる中で、資源を巡らせる社会への関心は日に日に高まっています。
その流れの中で、すでに多くの循環型サービスが登場しています。しかし、それらの多くは一次流通または二次流通のいずれかに特化したものであり、新品が店頭に並ぶまでと、使われた後にリセール市場で流通する「間」、つまり消費者が購入し使用している期間には、依然として明確な仕組みの空白があります。
Liberontは、まさにその「中間地帯」に着目しています。私たちは、誰もが無理なく循環社会に参加できる仕組みの社会実装を目指しています。その空白となっている領域の中でも、特に「買う」という行為に着目し、循環のスタート地点そのものに価値と仕組みを組み込むことで、日々の買い物が社会への参加につながる未来を構想しています。
この記事では、Liberontの循環サービスが創り出す新しい買い物の形と、その新しい仕組みが消費者・企業・社会にもたらす変化を紹介します。
循環型サービスの6つのアーキタイプ
循環社会への移行に向けて、現在さまざまな企業やスタートアップが新たなビジネスモデルを次々に打ち出しています。これらの循環型サービスは、そのアプローチによって6つのタイプに分類できますが、多くは「モノが届く前」あるいは「使われた後」を支えるサービスです。
一方で、私たちが注目するのは、その中間にある「買う」という行為そのものです。現時点では、こうした「購買」という日常の意思決定を変えるサービスはほとんど存在しておらず、ここにこそ大きな余白と可能性があると考えています。

1. サーキュラーデザイン型
循環の起点を「製品そのものの素材や構造」に置くアプローチです。ここでは、製品をよりリサイクルしやすく、分解しやすくすることに特化した研究開発型の企業が中心となります。
たとえば、Circular Systems は農業副産物や繊維廃棄物から再生素材を生み出す技術に注力しており、Natural Fiber Welding は天然繊維をベースにした100%生分解性の素材を開発しています。
2. Resale-as-a-Service型
近年注目が高まる「Resale-as-a-Service」は、ブランドが自社独自のリセール体験を提供するための支援を行うサービスです。これらの企業は、ブランドが公式に中古品の再販を行うためのEC機能や認証プロセス、在庫管理のインフラなどを提供します。
たとえば、Archive や Trove は、PatagoniaやLululemonなど大手ブランドと提携し、専用のリセールチャネルを構築しています。
3. マネージド・マーケットプレイス型
このタイプは、ブランドが外部の二次流通プラットフォームと提携し、顧客同士が売買する公認リセールの場を提供するモデルです。ブランドは自社で物流を行わずに、外部パートナーを通じて二次流通に関与します。
Reflauntはその代表例で、COSやBalenciagaなど多くのファッションブランドと連携し、顧客が簡単にブランド品を再販できるようなUXを実現しています。
4. リペア&リセール型
このモデルでは、ブランドが外部のリユース業者と連携し、製品の回収・修理・再販をアウトソースします。製品は品質を回復させた上で、公式なリセール品として再販される点が特徴です。
たとえばReskinned はイギリスのアパレルブランドと提携し、不要になった衣類を回収し、クリーニングや修理を経て再販しています。
5. 回収&リサイクル型
製品のリサイクルに主眼を置き、不要品の回収や分別を専門に行う企業とブランドが提携します。ブランドは販売後の責任を果たす形で、資源循環に参加します。
例えばSuperCircle は、ブランドの販売した衣類や商品を消費者から回収し、素材別に分別・再資源化する仕組みを提供するスタートアップです。アメリカではEverlaneやReformationなど若者に人気のブランドが提携し、循環の出口設計の役割を担っています。
6. サブスクリプション型
最後は、製品を「所有する」のではなく「利用する」モデルに転換する仕組みです。ブランドは商品をまとめて提供し、外部業者を通じて繰り返し使用される前提で流通させます。
Rent the Runway はその先駆けであり、フォーマルウェアや高級ブランドのアイテムを月額料金で貸し出すことで、「一度しか使わない服を買わずに済む」消費スタイルを提案しています。
Liberontが「バイバック保証」で叶える、新しい買い物の形
Liberontが提供する「バイバック保証」は、商品購入時に将来の買取価格を約束するという、これまでにない購買体験を提供します。ユーザーはあらかじめ買取価格が明示されていることで、リセールの不安や手間から解放され、安心して欲しいモノを購入することができます。
この仕組みは、たとえるなら自動車購入時の「残価設定ローン」に近い考え方です。一定期間後の価値が見えることで、買う行為自体のハードルが下がり、将来的な選択の自由度も広がります。Liberontではこの考えを、日常の買い物すべてに広げようとしています。

従来の買い物は、「売れるか分からない」「手間がかかる」といった不確実性がつきまとい、買われた後も、モノは使い捨ての消耗品として扱われがちでした。リセール時には、出品の手間や売却先の選定が負担となり、結果として、家に眠ってしまうモノも多くありました。
Liberontの「バイバック保証」は、そうした課題を根本から解消する「Buy Now Sell Later」という全く新しい購買体験です。将来的な価値が事前に分かるので、買う時点から循環への道筋を織り込んだ仕組みになっているだけでなく、モノは使っている間も「これは売れる資産」という意識で丁寧に扱われます。手放すときにも、決められたステップに従うだけでスムーズに循環へ回ります。
企業にとっても、これまで商品は「売って終わり」であり、その後どう扱われるかは見えない領域でした。二次流通市場も、いつ・どこで・どの価格で再販されているか把握しにくく、一方で参入を検討しても、ブランド毀損やリソース負担への懸念から、踏み出せないジレンマを抱えていた企業も多かったのです。
Liberontの「バイバック保証」を導入すれば、企業は自社EC上で再販価格を明示して販売でき、最初から循環を組み込んだ設計が可能になります。販売後の買取・再流通はLiberontが担うため、企業の負担は軽いままで、商品のリセール時期や流通の動きもデータとして可視化された正式なリコマースを行えます。ブランドを守りながら持続可能な販売を実現できるのです。
Liberontは、買い手と売り手の間をつなぐ存在として、一次流通と二次流通の境界をなめらかに接続し、買い物のあり方そのものをアップデートしようとしています。
買い物が社会貢献になる時代へ
Liberontの「バイバック保証」のサービスが目指すのは、モノの価値が最後まで活かされる仕組みです。生産されたモノが、必要としてくれる人の手を渡りながら巡っていく。その循環の流れが、資源が浪費されることなく、持続可能な社会を実装する土台となります。
そしてなにより重要なのは、この仕組みが消費を抑制することで実現されるのではないという点です。
Liberontは、欲しい気持ちを無理に我慢するのではなく、モノを安心して買い、自然に手放し、次の人へ渡すという流れを社会のスタンダードにしようとしています。Liberontは、「買うこと」自体を資源循環の起点にし、企業も消費者も無理なく参加できる循環型のスタンダードを育てていきます。
買い物を、巡る社会への入り口に。Liberontは、そんな社会の実現に向けて挑戦を続けています。