Liberontとは

世界で広がる資源循環の波:Croissant編

2025.06.16

循環リテールの最前線

[記事要約]

・再販価格を保証するサービス、Croissant: 米国のスタートアップCroissantは購入時に将来的な再販価格を保証するサービス。この仕組みにより、消費者は「モノを買うこと=資産を築くこと」として、買い物の意味そのものを再定義しています。導入パートナーは100社を超え急成長を続けています。


・ブランドにとっての新しい競争力: Croissant導入により、ブランドパートナーは購買単価の向上(平均+50%)、返品率の低下、顧客の再来店といった明確な成果を上げています。これは、再販保証の安心感が顧客のブランドロイヤルティを高める効果につながっていることの証拠です。


・Liberontが切り拓く日本での展望: 国内でも再販市場が広がる中、Liberontは日本初の「バイバック保証」サービスを提供し、革新的な購買体験の実装を提供しています。私たちは「買った瞬間からモノが巡り出す」という新たな買い物の当たり前を、日本の消費文化に根付かせていきます。



循環型社会とブランドの新たな挑戦


今、世界は循環型社会の実現に向けた変化のうねりの中にあります。サステナビリティやエシカル消費といった概念が浸透し、消費者の意識も「ただ買う・使う」から「長く使う・手放す先を考える」へとシフトしています。こうした潮流の中で注目されているのが、ブランドの二次流通への取り組みを支えるための循環型サービスです。

前回の記事では、これらの循環型サービスを上の図にあるように6つのアーキタイプに分類しました。今回は、Resale-as-a-Service型とマネージド・マーケットプレイスにまたがる形で存在し、ブランドに新たな競争力をもたらす存在として注目を集めている米国のスタートアップ「Croissant(クロワッサン)」を紹介します。

Croissantが提供しているのは、購入時点で再販価格を保証するサービスです。このサービスによって、消費者にとっては「モノを資産として持つ」という新しい購買体験を、ブランドにとっては「売って終わりではない顧客との継続的な関係」が実現されています。今回の記事では、Croissantの仕組みとそのインパクト、そして今後の日本における可能性を探っていきます。



Croissantのサービスの仕組み

Croissantは、パートナーブランドのECサイト上で商品の販売時にリセール価格を保証するサービスです。消費者は再販価値を考慮した上で買い物ができるので、品質をより意識するようになるだけでなく、リセールもCroissantのアプリ上で簡単にできます。


尚、Croissantはハイブランドからミッドラグジュアリーブランドまで、アパレルや雑貨、ライフスタイルブランドをはじめ、幅広い分野のパートナーから支持されています。アメリカ国内外のECプラットフォームやリテール事業者も導入を進めており、Croissantの公式ウェブサイトにはその多彩なパートナーリストが掲載されています。これにより、Croissantの仕組みがさまざまな事業形態・ブランド価値観と親和性が高いことが示されています。



リセール前提の購買体験が消費者とブランドにもたらす変化

Croissantは、顧客体験の向上を通じて、ブランドにも大きなメリットをもたらしています。CEOのジョン・ハワード氏は、「再販できる」という意識が消費者の購買行動に大きな変化をもたらし、それが結果的にブランドの売上増加や返品率の低下といった成果につながっていると語ります。


ハワード氏によれば、Croissantはあくまでリセール業者ではなく、ブランドのビジネスを支える「コマース支援ツール(commerce enabling tool)」として位置づけられています。消費者には、購入時点で再販を見据えた新しい購買体験と簡単な手放し方を提供し、ブランドには売上や顧客関係の強化といった実利をもたらしていると語ります。(参考:Bloombergインタビュー


消費者

メリット①:「買うこと」が「投資」になるワクワク感

従来、買い物は消費的行為であり、商品を手に入れた瞬間にその経済的価値はゼロになると考えられていました。Croissantは、この前提を覆そうとしています。


事前にリセール価格が明示されているため、買い物は資産を増やす体験へと変化。後悔のない、満足度の高い購買体験を実現しています。


「Croissantは、クレジット支払いに依存した消費から資産の所有という新たな購買マインドセットへと転換を促し、購買力を高め、ユーザーに真の経済的な自由と力をもたらします」と同社は述べています。


 メリット②:リセールが手軽に。

Croissantのアプリには購入商品の詳細もリセール価格も既に載っており、ユーザーは商品の写真を撮影したり説明文を書いたりという従来のフリマアプリで必要な作業が省けます


アプリユーザーのレビューには「フリマアプリで売りたい服があっても商品登録が面倒で家で山積みになり、結局リサイクルショップで25セント(35円)程度で売っていた。Croissantを使うと手間が全部省けて、しかも価格が分かる。もうやめられない」「クローゼットの大整理がアプリ上でほぼ終わった」という声が見られます。(参考:App Store)


メリット③:平均2500ドルの資産が家に。所有物の価値が見える世界

Croissantユーザーの多くは、アプリ導入時点ですでに平均2,500ドル相当の資産を保有していることが確認されています。特別な投資家でなくとも、日常の中で所有しているファッションアイテムや雑貨が「経済的価値を持つ資産」として見えることで、所有のあり方が変わります。


ブランド

メリット①:平均で50%の購買単価向上

Croissantを導入したブランドでは、平均で50%もの購買額増加が報告されています。全く同じブランド、同じ顧客を対象に比較した際のデータであり、リセール保証が購入時の意思決定にポジティブに働いていることが分かります。


ハワード氏は、この購買単価向上の背景にあるのは「Croissantを利用すると、顧客がより高品質な商品へのグレードアップに前向きになる」ことだと言います。以前なら躊躇していたような価格帯の商品も、再販できる安心感が購入を後押ししています。(参考:Bloombergインタビュー

 

メリット②:返品率の低下

「返品ではなく、まず使って再販する」という選択肢が生まれることで、返品率が低下することも、見込まれるポジティブな効果の一つです。多くのブランドが頭を悩ませる返品コストの削減につながっており、特にオンラインでの購入品の返品率が15%にものぼるアメリカでは、導入の大きなメリットとなっています。(参考:Jetro

 

メリット③:顧客との関係性が持続

Croissantを使うと、再販価値がストアクレジットになるため、リセール時に顧客が戻ってくることも効果の一つです。新品を売って終わりではなく、買い手と継続的に関係性を持つリテール戦略へと販売が進化します。

 

ハワード氏は「これまで話をしたブランドの中で、Croissantの導入による恩恵が見込めなかった例は一つもなかった」と語ります。(参考:Modern Retail



実証事例:マタニティウェアブランド「Hatch」の挑戦

Croissant導入の好例として、アメリカのマタニティウェアブランド「HATCH」があります。HATCHは、元々は創業者が妊娠中に「どうせ捨てる前提で、好みでないデザインのマタニティウェアを買うことへの違和感」から始まったブランド。(参考:Vogue)妊娠期間という限られた期間でしか着られないアイテムを扱うHATCHにとって、「買った後に手放す」顧客体験を提供するCroissantとのパートナーシップは自然な流れに見えます。


実際、Croissantを導入した結果、購入者の18%がリセール価格保証付きで新品を購入。Croissantを利用した顧客の平均購入額は未利用者よりも49%高く、ブランド全体の売上は7%上昇する結果となりました。(参考:Modern Retail



日本での可能性とLiberontの展望

日本国内でも、二次流通市場の拡大に伴い「再販を前提とした購買体験」の重要性は増しています。特にEC市場の競争が激しさを増す中で、ブランドが顧客との関係性を深め、差別化を図る上でこのような循環型モデルの導入は有効な打ち手として注目されています。

世界でもバイバック保証モデルを提供するサービスは稀であり、その中でもCroissantは創業からわずか3年で急成長を遂げ、ブランドパートナーや対象商品数を着実に拡大しています。

日本ではLiberontが、国内初となる「バイバック保証」サービスの提供に取り組んでいます。広がりつつあるリセール文化の中で、手間や不安といった心理的ハードルを取り除き、購買体験そのものを循環前提に再設計することを目指しています。


モノが眠らず、巡り続ける社会の実現に向けて。


Liberontは、消費者とブランドが次の時代へと踏み出すための新しい仕組みを、日本の暮らしと市場に根づかせていきます。



画像出典:公式Croissantサイト

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